琵琶語り



古民家ギャラリー「かぐや」のイベントとして、琵琶語りが上演されました。語りと琵琶の演奏は、能村達也 ・陽子ご夫妻です。前半の演目は、さねとう あきら原作の「おこんじょうるり」。盲目のイタコのばあさまに助けられたおこんぎつねが、ばあさまにじょうるりで恩返しをするというお話なのですが、心温まる民話を情感たっぷりに、能村陽子さんが語ってくれました。ことばの持つ力を感じるひとときでした。
後半は薩摩琵琶の演奏も加わり、小泉八雲の原典に近い形で「耳無し芳一」が上演されました。琵琶の物悲しい響きと、ときには力強いバチさばきに引き込まれました。能村さんの琵琶の説明を聴いて、はじめて琵琶に5つの種類があることを知りました。楽琵琶(がくびわ)、盲僧琵琶(もうそうびわ)、平家琵琶(へいけびわ)、薩摩琵琶(さつまびわ)、筑前琵琶(ちくぜんびわ)。今回使われたのは薩摩琵琶でしたが、作られて80年の歳月が経っているということでした。薩摩琵琶は桑の一枚板で作られているということで、太い桑があったものだと驚きです。さらに糸は絹糸ということで、カイコがらみの楽器ということもはじめて知りました。バチは三味線などと比べるとはるかに大きくて、その形も独特のもので宮大工に作ってもらったということです。宮大工ということで、ふと、その形が寺院や神社の屋根下に見る懸魚(けぎょ)に似ていると思いました。

神社の懸魚(日光)

薩摩琵琶
記:2009/8/22