幼年期の終わり



アーサー・C・クラークと言えば、「2001年宇宙の旅」が有名だ。同名のキューブリックの映画を見たとき、クラークが何を言おうとしているのか分からなかった。それでも宇宙の子が地球を見下ろすシーン、そのときに流れるリヒャルト・シュトラウスの「ツァラツーストラはかく語りき」、モノリスの異常なほど完全な姿、ハルの反乱など原作以上の見せ場が多かった。
 2001年より前の作品「幼年期の終わり」は、前作と同様に哲学的な要素が強い作品であるが、2001年よりは分かりやすくておもしろい。そして姿を見せない地球の不気味な支配者(オーバーロード)の存在はSFとは言え、リアリティを感じさせる。こんな人間と宇宙人の運命(これは読んでもらった方がいい)を受け入れることができるのだろうか?
 記:2008/7/29