どろろ



「漫画の神様」の異名を持つ手塚治虫(1928年−1989年)の作品に「どろろ」がある。妻夫木聡の「百鬼丸」と柴咲コウ演ずる「どろろ」の映画が当っているという。「デスノート」がヒットしたので、二大人気スターを起用して実写版を作ったのだろう。「どろろ」は昭和42年(1967年)〜43年にかけて週刊少年サンデーに連載され、一時中断後冒険王で一応の完結をみた。
 体の48ヶ所を魔物に奪われて生まれてきた百鬼丸は体を取り戻すために、泥棒どろろと魔物退治の旅に出るというストーリーである。水木しげる的な妖怪がたくさん出てくる。当時、「ゲゲゲの鬼太郎」や「悪魔くん」で人気があった水木しげるに対抗して書いたと言われている。それと白土三平の劇画的要素も取り入れている。
どろろは魔物退治というストーリーを通して人間回復を願う手塚治虫の傑作漫画と言えるだろう。「アトム」、「ブラックジャック」、「三つ目がとおる」、「アドルフに告ぐ」など手塚漫画はストーリー性があり引き付けられる。中でも「火の鳥」は壮大な構想の下に書かれたもので手塚のライフワークであり読み応えもあり、好きな作品のひとつである。

 百鬼丸


 どろろ
秋田書店・文庫版
記:2007/3/7