江ノ島・鎌倉の旅



鎌倉は温暖であるため、紅葉にはまだ早い。話によると12月10日くらいがピークだという。それでも所々色づいている木もある。この時期、草花も少ないと思いながら出かけたが、意外に秋の草花に出会うことができた。1日目は、江ノ島を旅する。小さな島と馬鹿にしてかかると、結構大変なコースが待ち受けている。裏側の岩屋までのコースは上り下りも急な階段の連続で息が切れる。波の浸食によってできた洞窟である岩屋の内部はわずかの照明で進む道が分かるようになっている。自然が造り出したトンネル内はにあまりにも人工的なアレンジ(蛍光塗料を塗った小石を並べてブラックライトで照らすと色取りどりの小石が浮かび上がる等)がしてあって興醒めしてしまう。江ノ島では至るところにトビが飛び交っていて、ピーヒョロロの声が聞える。
 海を見ていると太古の生命誕生の故郷へ帰って来たという感覚が蘇ってくる。宿は江ノ電沿線の七里ガ浜にあるホテルを取った。丘の上に経つホテルの部屋からは遠くに江ノ島を望むことができる。
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 帆翔するトビ 江ノ島展望台からの眺め






江ノ島(宿からの眺め)

2日目は鎌倉を散策する。北鎌倉駅を降りるとすぐに円覚寺の山門が見える。木々に覆われれた寺の領域は落ち着ける雰囲気を醸し出している。相当に広い寺域を歩くだけでも小一時間はかかる。しばし見晴らしのいい場所にある茶店で甘酒に酔う。
円覚寺を後にして江ノ電の線路を渡り、鎌倉街道を鎌倉目指して歩き始める。最初のお寺は東慶寺。縁切り寺として知られている東慶寺は花の寺としても有名である。庭園はよく手入れされていて、秋の草花を楽しむことができる。入口で今見ることができる花の写真と名前が載った案内ビラを頂く。リンドウ、ヒメツルソバ、ホトトギスなどが美しい。ホトトギスには園芸品種が豊富にあるらしく、松風、桃源、青竜、大納言、江戸の花、天の川、藤娘と微妙に花の色や斑点の付き方などが違っている。

リンドウ


ヒメツルソバとリンドウ

  ホトトギス(青龍?)


  ホトトギス(松風?)

明月院
東慶寺から明月院へ向かう。参道の途中に、画家で詩人で絵本作家でもある葉祥明の美術館がある。モダンな建物の中は落ち着いた雰囲気だ。中に展示されている絵や絵本などを見ながらしばしの時間と費やす。
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【 葉祥明(ようしょうめい) 略記 】
1946年熊本市生まれ。絵本作家・画家・詩人
絵本「ぼくのべんちにしろいとり」でデビュー。
「地雷ではなく花をください」、「イルカの星」、
「おなかの赤ちゃんとお話しようよ」、「心に響く声」、
「母親というものは」、「しあわせことばのレシピ」
など著書多数。

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明月院はあじさい寺と知られている。今の季節は背ほどもあるあじさいの葉を見るばかりで面白みがない。とは言っても5〜6月には多くの人が訪れるため、紅葉までの端境期のお寺を味わうのもいい。
 浄智寺に寄った後、建長寺に向かうがここはパスして鶴岡八幡宮へ急ぐ。七五三のお参りに来ている子ども連れや修学旅行生の姿も眼につく。小町通りに入りウインドショッピングを楽しむ。今日も一日よく歩いたものだ。気がつくと鎌倉駅に着いたのが4時近くになっていた。




葉祥明美術館


3日目。まずは鎌倉の大仏へ向かう。子どもの頃見たときより大きさが小さく見える。これも外に鎮座しているためかも知れない。20円払って大仏の胎内に入ってみたが、これという感動はない。傷だらけの胎内を見るような感じで、張り合わせ部分のすじが縦横に走っていた。

鎌倉の大仏


大仏から長谷駅に向かって歩く。まずは長谷寺。大仏よりもこちらの方が落ち着ける雰囲気だが、大仏共々人出が多い。タクシーの運転手に教えてもらった長谷駅近くにある御霊神社(権五郎神社)参道入口の「力餅屋」に寄る。300年の歴史を持つ老舗だ。ここの力餅は賞味期限改竄で問題になった赤福のよりおいしいという。土産として買ってきて食したが評判通り、おいしい。その日のうちに食べるのがベスト。翌日になると少し固くなっている。「今日中にお召し上がりください」とラベルが貼られていたのも頷ける。
 昼食は江ノ電に乗り江ノ島まで出て、名物の生しらす丼を食す。はじめは一番有名な「とびっちょ」というお店に行ってみたが、長蛇の列だったので、諦めて近くの並びの店で食べることにした。シラスというとボイルした白っぽいものを思い浮べ勝ちであるが、この生シラスは透明なシラスで、魚の臭みが無い。これも採り立てのものでないとできない食材である。最後に新江ノ島水族館に寄ったが時間があまりとれず急ぎ足の館内見物に終わった。今回の観光バスを使わない旅は時間を自由にとれて、鎌倉・江ノ島の歴史と文化と自然と食に触れる旅を満喫することができた。
2007/11/1〜3