「ビッグ・バン」を考えた人


 
「不思議の国のトムキンス」などで知られたロシア生まれのアメリカの物理学者ジョージ・ガモフ。ガモフ全集という物理を楽しく読ませる本が、日本でも翻訳されていて、科学嫌いの人でもきっと引き込まれていくに違いない。アイザック・アシモフなどにも通じる所がある。
 そのガモフが、宇宙のはじめを「原始火の玉」と考えた論文を発表した。それに対して、当時ライバルの理論であった定常宇宙論の提唱者の一人であるフレッド・ホイルが「この理論は自爆ものだ!」と軽蔑の意味もこめて言ったのが「ビッグ・バン」の名前の起こりだという。
  
ビッグ・バンの証拠として最も有力なものが、「宇宙3K背景輻射]として観測されている。高温の火の玉宇宙が、今は冷えて絶対温度3度(マイナス270℃)の雑音が宇宙にあまねく満たしているというのだ。

ジョージ・ガモフ
(GEORGE GAMOW)

1904-1967
1904年ロシアのオデッサに生まれる。レニングラード大学を卒業後、コペンハーゲン、ケンブリッジ大学を遊歴、ボーア教授に師事する。
1934年にアメリカに渡り、ジョージ・ワシントン大学教授をへてコロラド大学物理学教授などを歴任する。
原子生成についてのαβγ理論、宇宙始まりに関するビッグバン理論など、現代の宇宙論の基本的アイディアを提示した。また「不思議の国のトムキンス」をはじめ、科学啓蒙書を数多く出版し、科学の普及に貢献した。

2001/4/21