アービタックス



抗がん剤治療もいろいろ受けてきました。

 @イリノテカン+5-Fu
 Aオキサリプラチン+5-Fu
 Bティーエスワン

それぞれ効果を発揮しましたが、一定期間を過ぎるとその効果も薄れてきて、腫瘍マーカーの値が上昇してきました。そのたびに新しい抗がん剤に変えて治療を受けてきました。がんというのは何と強い細胞なのかと、あらためて感じてしまいます。そうはいってもここで諦めるわけにはいきません。別の治療法がある限りやってみる価値はあると思います。今回、薦められた抗がん剤は、2ヶ月ほど前に認可されたばかりの新薬です。今までの抗がん剤はがん細胞と正常な細胞の区別がつかず、正常な細胞も攻撃してダメージを与えてきました。新しい抗がん剤は、がん細胞を見分けて、そのがん細胞の増殖に関与する因子を抑える「分子標的治療薬」と言われています。下の図のようにがん細胞には多くの増殖に関係するかぎを持っていて、そこに増殖のスイッチとなるEGFRという因子がくっつくと、がんの増殖が始まります。新しい抗がん剤はこのEGFRがかぎに結びつかないように阻止する働きがあります。そのため、がんの増殖を抑えることができるというわけです。
アービタックス(セツキシマブ)という抗がん剤がそれです。これからこの治療を始めようとしています。今はこの薬が使えるかどうか、以前に摘出したがん組織を使って、その効果を調べてもらっています。これがOKと出れば治療が始まることになります。
この治療をうけるかどうか迷いました。確かにがんに対して効果があることはわかるのですが、その費用がばかにならないのです。1回の点滴治療で4万円ほどかかり、毎週行う必要があるからです。高額療養費が支払われるまで3ヶ月以上かかりますので、それまでは、その費用を全額払わなければなりません。結構きびしい状況ですね。それで、ひとつの提案をかかりつけの医者にしました。がんの摘出手術ができないかどうかです。そして外科の先生から意見を聞くことにしました。先生の意見では、手術はかなり難しいということでした。直腸とその周りの組織を摘出するのですが、骨盤にもがん細胞がもぐりこんでいるらしく、それを完全に取ることは不可能に近いということです。骨盤をけずったり、小腸の一部を取り除いたり、膀胱を取り除いたりすると、骨盤の隙間などにうみなどがたまりやすくなり、下手をすると、寝たきりの状態になる可能性があることや、膀胱を取り除くともうひとつストーマーをつける必要が出てきます。手術が非常に大掛かりになるため、生命の危険さえ伴うということでした。こういう見解が出たからには、抗がん剤治療しか選択の余地はないように思います。免疫療法や温熱療法など別の治療法はありますが、これなども抗がん剤と併用していくみたいなので、現在のところ、抗がん剤の効果を見るのが先かなと思うのです。というわけで、新しい抗がん剤が使えることを願っています。

アービタックス
記:2008/11/27