がん治療の選択



抗がん剤の効果は、4種類に分けられるといいます。
   A群:治癒が期待できる。急性骨髄性白血病ほか
   B群:延命が期待できる。乳がん、大腸がんほか
   C群:症状改善が期待できる。食道がん、胃がん、前立腺がんほか
   D群:効果はあまり期待できない。肝がんほか 
抗がん剤治療を受ける場合、現状を見極めて、決める必要があります。抗がん剤を使えば治るものと思ってしまっていけないということです。治るのはほんの一部のがんに限られるということです。あとは延命あるいは症状改善に役立つということです。抗がん剤に期待しすぎるのはいいこととは言えません。
現在、抗がん剤は治療薬が決まると、皆一律の投与量で行われていますが、これを見直そうとする動きもあります。人それぞれによって効く量が違っているはずで、その人に適した量があるはずだということです。副作用の出方もこの調節によって緩和され、体への負担が減少します。がんの征圧を目指すのではなく共存しながら、抗がん剤治療を長引かせ、ひいては延命につなげるという考えです。この考えに基づいた治療法を「休眠療法」と呼んでいます。現在ぼくは、治験薬の治療を受けていますが、抗がん剤の量は中くらいの状態を選んで投与されています。5日間連続でゆっくりと投与しているというのもいい方向に向いているのだと思うのですが、副作用もほとんどなく、苦しむこともなくそれなりの効果を上げているように思えます。こういう経験からも、一人ひとりに合わせた治療という方向をこれから打ち出してほしいと思います。
緩和ケアということばを聞いたことがありますか?緩和ケアは、「生命を脅かす病気に起因した諸問題に直面している患者と家族のクオリティ・オブ・ライフ(QOL、生活の質)を改善する方策で、痛み、その他の身体的、心理的、スピリチュアル(霊的)な諸問題の早期かつ確実な診断、早期治療によって苦しみを予防し、苦しみから解放することを目的とする」とWHO(世界保健機構)が2002年に定義しています。

がん治療の常識・非常識:田中秀一著 講談社ブルーバックス)


がんの原因として活性酸素が注目されていますが、いち早くこの研究に取り組んだのが丹羽靭負氏(Niwa Yukie:土佐清水病院院長)です。活性酸素は細菌やウィルスなどの病原菌をはじめ、身体にとって異物であるものが侵入してくると血液中の食細胞である白血球が取り込み自分の細胞内で活性酸素を作り出して取り込んだ異物を溶かします。この意味で活性酸素は必要なのですが、これが必要以上に作り出されると、それが細胞外に出て正常な細胞を破壊する行為に出てしまいます。その余分の活性酸素を取り除くのがSODという酵素なのです。SODはもともと体内にあるのですが、年齢とともに減少し、活性酸素が異常に増えた時には体内にあるSODだけでは間に合わないといいます。そこで、外からSODを追加することになるのですが、通常の方法では分子量が大きいために胃で破壊されるか腸で吸収されません。注射で注入する方法(リポゾーマルSOD)がフランスで開発されましたが、非常に高価であり、まだ厚生省の認可が下りていないということが、患者にとって不利な条件になっています。そこで丹羽氏が健康食品として、SOD(スーパーオキサイド・ディスムターゼ:活性酸素を取り除く酵素)と同様の働きをする食品を開発したということです。丹羽氏が開発したSOD様作用食品がアトピー性皮膚炎、脳卒中、心筋梗塞、肝炎、神経痛、リュウマチ、クローン氏病など活性酸素にその病根を持つ多くの病に効果があることが分かっています。
〈 商品「SODロイヤル」についてのAmazon.comでの説明文 〉
「活性酸素は、健康を維持するために、体内で必要に応じて生成される有益な物質です。しかし、公害因子や環境汚染により、活性酸素が体内で過剰増加すると、健康を維持していくうえで、有害物質になると言われています。私たちの体内には、過剰増加した活性酸素を中和するスーパーオキサイド・ディスムターゼと呼ばれる酵素がありますが、個人差があり、お年とともに徐々に弱まり始めます。SODロイヤル(丹羽SOD様食品)は、杜仲抹茶・胚芽・大豆・ぬか・ハトムギ・小麦・ゴマなどの純植物性原料を遠赤外線焙煎と発酵と油剤化することで吸収できるように製法したものです。」

SOD様作用食品の効果:丹羽靭負(耕三)著)
がん治療 究極の選択:丹羽靭負(耕三)著 講談社)

SOD丹羽療法のサイト


安保 徹(Abo Toru)氏が提唱する自律神経免疫療法。自律神経は交感神経と副交感神経のバランスで成り立っています。しかし、精神的・肉体的ストレスがかかると、そのバランスが交感神経優位へと大きくぶれ、それが白血球(マクロファージ5%、顆粒球60%、リンパ球35%)のバランスをくずして、顆粒球増多・リンパ球減少となり体内の免疫力を低下させます。それが病気の原因であるということです。安保さんは、ストレスを取り除かないことには、病気を根本から治癒するすることにはならないといいます。抗がん剤などの薬を使っての一時的な症状の緩和には役立ってもそれ以上でも以下でもないということです。抗がん剤による免疫力の低下の方が問題であると言っています。温熱療法がこれから注目されるようになるといいます。それは温めるとリンパ球の活性化を促し治癒に向かう可能性を持っているからです。またこういうことがあります。消炎剤・鎮痛剤が交感神経緊張を促します。そうすると、これを長期常用すると発がんしやすい体質を招きます。またこれも意外なことだと思われるでしょうが、「転移=がんの悪化」という図式は見直す必要があります。転移が起こるということはガンが直るサインなのです。リンパ球(NK細胞、胸腺外分化T細胞、T細胞、B細胞))が上昇しはじめたとき転移を起こしやすいことがわかってきました。がんが悲鳴をあげ逃げ出そうとしている状態が転移というわけです。これはがん撲滅のチャンスというわけです。症状のとらえ方ひとつ、見方が変われば変化することを肝に銘じておくべきでしょう。NK細胞はナチュラル・キラー細胞と言って、がん細胞を攻撃することで知られています。

安保さんが提唱されている「がんを治す4カ条」を載せておきます。

  1. 生活パターンを見直す
  2. がんへの恐怖から逃れる
  3. 免疫を抑制するような治療を受けない。あるいは受けている場合はやめる
  4. 積極的に副交感神経を刺激する

リンパ球の比率と病気の関係は以下の通りです。
  35〜40%  健康な状態
  30〜35%  不快症状がある状態
  30%以下  なんらかの疾患あり
  18%     がんの可能性あり

体を冷やすことから病気になるといいます。冷蔵庫、クーラーその他の文明の利器が思わぬ弊害をもたらしているようです。体が冷えると交感神経が優位になり、血流障害を起こします。冷えが慢性化すると、痛みやしびれ、赤ぎれなどの炎症が起こりますが、これらは冷えを改善しようとする副交感神経の反射である炎症です。そのため、これを薬で止めてしまってはせっかくの治癒反応を止めてしまうことになります。そのため、消炎鎮痛剤、ステロイド、睡眠薬、抗不安剤、血圧降下剤などが長期使用されると体にとってよくないことになるといいます。

免疫革命:安保徹著 講談社インターナショナル)
最強の免疫学:安保徹著 永岡書店)

安保 徹 オフィシャルサイト


東城百合子さんの「家庭でできる 自然療法」(あなたと健康社)。いろいろな病気別に対処法を書いた本で、全部を読み通すというのは大変ですし、読んでいる間に忘れてしまうと思うので、こういう本の場合には、関係するところだけを拾い読みした方がいいと思います。ということで、ぼくの病気に関係したところを読んでみると、ビワの葉や種の利用法が役に立ちそうでした。今度、庭に植えてあるビワを利用して実際に試してみようと思っています。

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 治療の方法、その方法に対する意見などいろいろな考え方があります。患者にはいろいろな情報が入ってきます。その中から自分に最適な方法はどれなのかを自分で選択する必要があります。どの選択をするのかは、自分にかかっています。というのも自分の人生をどう過ごしていくかということにかかわってくるからです。自分では決められず医者や家族など自分以外の人に決めてもらいたいと言う人もいるかもしれません。しかしそれでいいのでしょうか?一度しかない人生はやはり自分で結論を出したいではありませんか。ぼくはそう思います。選ぶ時、病気のことを一番に考えるのではなくて、自分のやりたいことは何か、そしてそれを実現するためにはどの治療法がいいのかを考えた方がいいように思うのです。
 (記:2009/5/30)