血液検査


 
血液の中には白血球・赤血球・血小板の三種類の細胞が有り、それらが骨髄で作り出されています。その中の白血球には、好中球(こうちゅうきゅう)・好酸球・好塩基球・単球・リンパ球などの種類が有りますが、その大部分は好中球とリンパ球です。
その好中球は細菌の病気を、リンパ球はウイルスの病気を防いだり治したりする仕事をしています。好中球にはミエロパーオキシダーゼと言う酵素が大量に存在していますが、その酵素の働きにより、活性酸素の一種で有る過酸化水素を塩素イオンと反応させ次亜塩素酸を作り出します。一般的に、活性酸素が体内に侵入した細菌などの異物を分解しているのに活躍していると言われていますが、実際にはその活性酸素も次亜塩素酸に変化した形で細菌などの異物を分解するために活躍していたんです。ですから、好中球がこの次亜塩素酸を生成させるのは、まさに 『安全に殺菌するため』 ですし、生命が数億年かけて、この次亜塩素酸の血液中での安全性を証明して来たと言えます。

 現在、抗癌剤投与を行なっていますが、その治療の前に必ず血液検査をして、その数値によって、治療を施すかを決めています。検査は多岐に亘っていて生化学検査、凝固検査、尿検査、内分泌腫瘍検査、血液検査などに及んでいます。
その中で、治療をするかどうかの決め手になるのが白血球(WBC)、好中球、リンパ球などの血液中の数です。これらの数値が少ないと外部から侵入する細菌やウイルスに対する抵抗力が低くなります。こういうときは治療を見合わせることになっています。時々これらの数値に引っかかり、治療を中止することもあります。特に白血球と好中球の減少が時折あります。

 免疫関連の細胞がウィルスや細菌からヒトの体を守っていることが解ってきています。この免疫が活性化していなかったらあらゆる病気を引き起こすことにもなります。免疫力を高める、或いはバランスを保つという役目をしているのが腸内細菌であるということが解明されてきています。

 人間には本来自然治癒力という「恒常性維持調整機能」ホメオスタシスが備わっています。
人間の体は取り巻く環境が変わっても、体温維持、血糖値の調節、浸透圧の調節 など、生きていく上で重要な機能を常に正常に保つ働きを持っています。 その働きをホメオスタシスといいますが、これらの機能をバックアップ・修正しているのが腸内細菌であるということが解明されています。これらの腸内細菌の重要性も考慮しつつ治療に関わりたいと思っています。

 現在使用している抗癌剤のひとつに5FUがありますが、この薬の副作用と思われる症状が現れています。手の平や顔が赤茶けてきたり、手などの節目にひび割れができたり、あるいは下痢症状が起こったりします。今回、特に下痢症状が激しくて、2日間くらい、これに苦しめられました。一時間置きくらいに下痢を催すので、水分不足と体力の消耗が激しかった。そこで、次回からはこれを止めて、アバスチンなどの他の抗癌剤だけでの治療に当ることになりました。抗癌剤は体内に蓄積されて、その副作用が強められることがあるようです。そのため症状によっては量を減らしたり止めたりすることが必要になります。食欲不振がさらに直れば言うことはないのですが、どのくらい改善されるのかはまだ何とも言えません。

主な血液検査・・・これらの数値を検査しながら治療にあたる。
WBC(白血球)
MCV(平均赤血球容積)
MCH(平均赤血球色素量)
MCHC(平均赤血球血色素濃度)
PLT(血小板)
リンパ球
単球
好酸球
好塩基球など

凝固検査

尿検査

内分泌腫瘍検査・・・腫瘍マーカー
CEA-CLIA
CA19-9 CLIA

主な肝機能検査・・・下記の数値を検査して肝細胞障害があるかどうかを調べる
AST(GOT)
ALT(アルカリフォスファターゼ、GPT)
LDH(乳酸脱水素酵素)など

その他の生化学検査
総蛋白
尿酸
総コレステロール
ナトリウム、カリウム、カルシウム、無機リン
 記:2007/12/16