ガラスの使徒(つかい)



原作本「ガラスの使徒」

ビッグサイトに行く用事があり、帰りに寄り道をして前から気になっていた映画を見てきた。恵比寿駅東口から動く歩道を使って7分くらいだろうか、恵比寿ガーデンプレイス内の東京都写真美術館にその映画館はある。
 開演前、映画のエンドミュージックにもなっている中島みゆきの歌声が静かに流れていて、200席ほどのこじんまりとしたホールは気持ちのいいスペースになっていた。
映画「ガラスの使徒(つかい)」は唐十郎原作で自ら脚本を書き主演している作品だ。監督は金守珍(キム スジン)で新宿梁山泊を主催している。唐十郎はよく知られているように新宿花園神社に紅テントを建ててアングラ演劇を上演してきた。
 唐十郎は、この作品を伝説のレンズ職人を主人公にした現代の御伽噺として仕上げている。口径60cmのレンズが主役の位置を占めているのでどうしても見たかったのだ。こんなことありえないだろうと思うところもあったが、それは感覚で捉える唐流の思い入れがあって観客それぞれが自分流に感じればいいのだろう。中島みゆきも脇役として出演しているのは唐十郎が彼女の歌った「地上の星」に刺激されてこの映画を作った経緯があるからだという。何はともあれ気持ちのいい作品に仕上がっていた。背景美術の一部に勤めている会社のレンズが使われているのも、この映画を見るきっかけになっていることは確かだった。


映画のパンフレットはレンズをイメージして丸型
【出演者】佐藤めぐみ、稲垣卓央、唐十郎、山田純大、余貴美子、六平直政、中島みゆき、石橋蓮司、佐野史郎、原田芳雄 他
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アングラ:地下の意の「アンダーグラウンド」の略。商業性を無視し、独自の主張をする前衛的で実験的な芸術、または、その作品。
  1960年代に米国で発生して、日本にも普及した。
2006/1/18 記