ガウディ回想


バルセロナのビルから周りを見渡すと遠くに見覚えのある建物がそびえ立っていた。まるで地面から生えてきたキノコのようだ。ああ、ここに在ったのかとそのとき初めてバルセロナという地名とガウディ(1852-1926)が結びついた。翌日、友人と建物目指して歩き始める。方向を見失うことはない。スペインは地中海性気候、空港を降り立ったときには暑さを感じたが、シンガポールのようなじとっとした感じではない。
目の前に見る「サグラダファミリア」。いまだに建設中で、後200年くらいかかるという途方も無い計画が実行されてる。何世代にも渡って一人の建築家の魂が生き続けるというのは何とすばらしいことか。ガウディは建築を始める前に実験を繰り返し行なっている。自重だけでアーチ状の入口や窓を支える構造などなど。ガウディの建築では曲線が入り混じっている。曲線の組み合わせで構造上しっかりとしたものを作るというのは直線の組み合わせよりも難しい。どこに弱点が現れるかわからないからだ。だからガウディは綿密な実験を繰り返して形を決めていった。鐘が最後に取り付けられたとき、その音色はバルセロナの街に響き渡るのだろうか。

 サグラダファミリア
1986年9月撮影
 
2005/2/2 小野 恵撮影
大きな画像(2317×1527ピクセル、5060KB)