ハードボイルド



小説の手法のひとつにハードボイルドがある。ハードボイルドは感傷的にならずに事実を淡々と描くことによって、読む人それぞれが自分の感情で読み取っていく。内容的には暴力がからむことも多いが、そこに描かれた世界は非日常の世界と言っていいのではないだろうか。それでいて日常と不連続では決してない。最近、このハードボイルド゙小説に少しはまっている。と言っても藤原伊織ひとりであるが。一番最近の本では「シリウスの道」。冬の夜空に見える一番明るい星「シリウス」がキーワードになっている小説だ。ハードボイルドは一種、科学の世界とも通じているのではないかとも思う。科学では事実だけを淡々と綴っていくからだ。小説に出てくる人物は、自分とはかなりかけはなれた一徹さを持った人々が多い。昔気質の人物がそれに最も近い。普段は物静かに生活しているが、事が起こると敢然とそれに立ち向かっていく。そんな人物、今ではもういないのでないかと思えるキャラクターを持っている人に惹かれるのかもしれない。

広辞苑によれば、ハードボイルドとは、
「(固ゆで卵の意から転じて冷酷、・非情の意)。文学上、感情を交えず、客観的な態度・文体で事実を描写する手法」とある。
2005/8/29