光現象を扱った本



雨が上がって青空が見え始めるようなとき、太陽を背にして虹が現れる。夕焼け、朝焼けの時々刻々変わる色の変化。太陽が沈む最後の瞬間に見えるグリーンフラッシュ。山の霧の中に現れるブロッケン現象。太陽の隣にもうひとつ明るい偽の太陽が輝いている幻日。熱せられた道路で見られる逃げ水、そして蜃気楼など光にまつわる現象は非常に多い。そんな光現象を扱った本を見るのは楽しい。なぜ、こんな現象が起こるのかを理論的に教えてくれる本がいくつかある。その中で手元にある二冊の本を紹介しよう。
「太陽からの贈りもの」(Robert Greenler著、小口 高・渡邊 堯共訳、丸善株式会社発行)。平成4年に発売されたものなので、すでに10年以上前の本だ。虹、ハロ、光輪、蜃気楼などについて詳しく理論的に解説している。内容的にはそれぞれ細かく解説されているが、やや専門家向きの本と言える。
次に紹介するのは、「空の色と光の図鑑」(文:斉藤文一、写真:武田康男。草思社発行)。この本も10年くらい前の本だ。この本は見ているだけで楽しい。カラー写真がふんだんに使われている。原理の説明だけでなく、いろいろな言い伝えやエピソードも交えながら語られているので気軽に読める。またどこから読み始めても良い構成になっているので、疑問に思っているところから読み始め、さらにそれに関係した項目を読んでいけば尚一層理解が深まる仕掛けだ。

6月12日(2005年)正午頃に「群馬天文台」で写された環水平アーク(水平環)の写真は少し話題になった。一部の報道では彩雲とされていたが現象的には水平環が正しいようだ。このときの太陽高度は約76度でした。
虹とは違って環水平アークは氷の結晶で下図のように光が屈折して起こり、太陽と同じ側(下側)に見える現象だ。
空に氷の板結晶があるときには水平に浮かんでいるのが安定していて、たくさんの氷結晶で屈折した光が重なって見えることになる。この場合、氷結晶が垂直軸の周りにどのように回転していても出てくる方向は同じ水平方向になるが、光の色(波長)によって屈折して出てくる方角が異なるので、水平の虹のように見えることになる。光としては上の面を通って下の面を通り抜けていくものもあるが、これは平行にずれるだけなので色に分かれることはなくて虹にはならない。


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2005/6/19 記