天文仲間では、一度は手にしたいのが、木辺成麿さんの鏡でした。
木辺さんは大津近くの錦織寺に住む住職さんでした。平成2年5月亡く
なられるまでに多くの鏡を世に送り出しています。そのうちの1枚が僕の
主力望遠鏡になっています。
「S.S.K.M946」と裏面に彫り込まれた主鏡は、木辺さんから送られてきた
手紙によれば、λ/10からλ/12と推定されています。
1976年秋からかかりはじめ、約10ヶ月かかって手許に届いています。
口径200mm主鏡と45mm斜鏡ともで、当時13万5000円でした。
鏡が出来上がる間に主鏡セルなどは、ラワン材で木型を作り、鋳物屋さ
んに金物に仕上げてもらったりして、外回りは自作しました。
架台としては、タイタンR型(ビクセン)という、鋳物の固まりみたいな赤道
儀があったので、それに載せることで、何とかおさまりました。
 1977年7月9日と、12日の両日にわたって、M13、M57を用いて、星
像検査を行いました。100倍を超える倍率にすると、M13は明瞭に星に
分解しはじめ、M57はリングがはっきりと見ることができました。そのとき
の感動は一生忘れることはできないでしょう。


[木辺さんからの鏡面精度測定の手紙]