空間感覚 3



 月は普段見慣れているかもしれない。下の写真は10日月と21日月を並べたもの。この二つの写真を見比べると、光の当たり方が違うのはわかるだろう。光の当たり方によってクレーターなどの表情がまったく異なる。このことは月を見始めた人でもすぐに気がつくことだ。満月よりも欠けた月の方がクレーターのメリハリがついて見やすいことも。
 
10日月(左)と21日月(右)

もう少し注意深く見ると、月がいつもまったく同じ顔を見せているとは限らないことがわかる。光の当たり方の違いではない。見えている範囲が微妙に違っているのだ。欠け際あたりの黄色丸で囲んだクレーターを見比べてもらいたい(下の写真参照)。明らかに南北に月が振れているのがわかると思う。もちろん、月の裏側すべてを見せることはないが、南北(写真では上下方向)に振れている。同じ月をねらって何度も写してみるのは無駄と思えるかもしれない。月なんてもう死んでしまった天体で変化なんてこれっぽちもないんだからと。しかし、こんな思わぬ発見もあるということも忘れないでほしい。 
 
黄色で囲んだクレーター「プラトー」を見比べると、南北の振れが確認できる。
 記:2008/7/30