宮城隆史氏天体写真盗作問題



7月22日の皆既日食は日食フィーバーを引き起こしました。日本国内で46年ぶりで見られるとあって、多くの人がトカラ列島方面や硫黄島方面に出かけていきました。ぼくはまだ皆既日食を見たことがないので、一度は見たいと思っていましたが、体調の方がいまいちであったこともあって、今回は見送りました。ぼくの長女は母島沖で見て感激してました。
今回の日食に関していいニュースばかりではありませんでした。奄美大島へ日食を見に家族で出かけた酒井法子の覚せい剤使用問題がトップニュースで報道されました。現地へ観測に行かれた方はいやな思いをされたのではないかと思います。せっかくの思い出に黒い汚点を付けられたように思った方も多いのではないでしょうか。
そして、もうひとつ、日食がらみで問題が発覚しました。沖縄在住の宮城隆史氏がアストロアーツに投稿した皆既日食の写真がチェコ共和国ブルノ工業大学機械工学部数学研究所のMiloslav Druckmuller氏がWebページで公開している画像を無断で複製加工したものであったことが発覚しました。そして、その後の調査でさらに何点かの以前に公開されている写真も盗作疑惑があることがわかりました。

問題になった日食写真は下記の「月刊星ナビ10月号の表紙」に採用されたものです。日食写真ですから、誰が撮っても同じかというとそうではありません。特に下記の写真は写した写真に画像処理を加えたもので、コロナ流線がはっきりと写っています。さらに背景にある星を調べるとどこで写したかがわかるのです。
宮城氏は中国の杭州および鹿児島県喜界島で撮影した多数の画像を素材として作成したとしています。しかし背景の星と太陽との位置関係がおかしくて、まさにMiloslav Druckmuller氏がマーシャル列島で写した星配置と同じだったのです。
星ナビ10月号

Miloslav Druckmuller氏撮影のマーシャル列島での日食写真はすばらしいもので、下記の写真をご自分のWEBで公開しています。
Miloslav Druckmuller氏撮影の日食写真WEBページ http://www.zam.fme.vutbr.cz/~druck/Eclipse/Ecl2009e/Tse2009_500_mid/0-info.htm

宮城氏は盗作の事実を認めています。コラージュという技法は芸術作品技法のひとつとして認められてはいますが、科学雑誌への投稿では、これを明記しない限り実際に写したものと受け取るのが自然です。コラージュは認めるとしても、撮影場所を偽って報告するということは虚偽行為であり、今回の宮城氏の写真は天体写真に志すものの一人として許すべからざる行為であり残念でなりません。
今回の事件がさらに拡大される可能性があります。宮城隆史氏による天体写真盗作に関する検証サイトが出てきてもいます。しかし、もうこれ以上傷口を大きくする必要もないでしょう。宮城氏は20代〜30代と言われていますが、本人も反省していることでしょうし、これからは彼が地道な天文活動をされて行くことを願わずにはいられません。
記:2009/10/12