隻眼鏡



偶然、この言葉に出会った。何と読むのかご存知だろうか?
「せきがんきょう」と読む。一体何を表しているのか?
「隻」は広辞苑によると、「組み合わせる相手がないこと。ただ一つ。また対になっているものの一方。片割れ」とある。
「隻眼」でさらに引くと「一つの眼、片目、独眼」とある。それで、ああそうかと納得がいった。一つ眼の望遠鏡、すなわち「双眼鏡」に対する言葉なのだ。野鳥の観察に使われているフィールドスコープ、スポッティングスコープなどがこの範疇に入る。日本では「単眼鏡」と呼んでいる部類だ。今では隻眼ということばがほとんど使われないので死語に近い。それでも役所の法律文書には未だにこのことばが残存している。
輸出の関税関係の分類項目に「双眼鏡、隻眼鏡その他の光学望遠鏡及びその支持具並びに天体観測用機器(電波観測用のものを除く。)及びその支持具」ということばで登場する。いいかげんことばを訂正した方がいいと思うが、法律というものはいつの世もなかなか改訂されないものらしい。
隻眼鏡をYAHOO検索にかけると、結構、引っかかってくるが、ほとんどが中国語のサイトだ。中国語はまったくお手上げであるが、中国では今でもこのことばが生きているということなのだろう。ということは中国語の物の名前をそのまま日本語として用いたのがこのことばの始まりなのだろう。


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単眼鏡

2005/12/3 記