山田 征さんのこと



知人が一月くらい前に、本を手提げ袋いっぱい持ってきました。以前にも、僕の抗がん剤治療を心配していろいろな自然療法の本をプレゼントしてくれました。今回は何を持ってきてくれたのかなと思っていましたが、ほとんどが山田征さんという方の本でした。
     【山田 征さんの本】

     @光と影のやさしいお話(アマンの会)
     Aあたらしい気の泉(アマンの会)
     B鏡の中のすばらしい世界(アマンの会)
     Cあたらしき星への誘い(アマンの会)
     D光の帯となって(アマンの会)
     E吹く風も また私である(アマンの会)
     Fもうひとつの世界へ(アマンの会)
     Gふたつの世界の間に立って(アマンの会)
     かかしのおばさん エジプトを往く(アマンの会)
     山田さん ひとりNGO(現代書館)
    
ひとつは「山田さんのひとりNGO(んでもやっちゃう レート ばさん)」という自らの活動の記録を綴ったものでした。震災後の神戸に行っての活動やら木を植える活動、あるいは日々思っていることの記録でした。すごいおばさんがいるもんだなと感心してしまいました。そしてつぎに手にしたのが「かかしのおばさん エジプトを往く」というエジプト紀行の話なんですが、これはなかなか面白いものでした。通常の旅行とは一味違った経験を綴ったものです。そして「もうひとつの世界へ」と読み進めてきたとき、ん、これはいったい何の本なんだろうかと一瞬立ち止まってしまいました。どうも話は視えない世界の話、つまり、あちらの世界の話だったんです。これはちょっと違うのではないのと思ったんですが、とにかく最後まで読んでみることにしました。山田さんがリーディングすなわち自動書記をし始めるきっかけやその経緯を書いたものでした。山田さんのこどもが小さい頃、あちらの人達がいっぱい訪ねてきていろいろ話をしてくれるということから始まってある日、自分の思考とは関係なく勝手に文字を書き始めたという話なのです。すなわりリーディングのはじまりでした。外からのエネルギーが体に流れ込み、それが手を動かすことになる。ぼくはこんなことありえないのではないかと思っていましたから、もう読むのはやめようかとも思いました。しかし、友人がわざわざもってきてくれたからには何かあるのに違いないと思い、ひとつの読み物として読み進めることにしました。これから8冊実際のリーディングの内容が日記として記録されていきます。そこに書かれたものには、我、いえす、まりあ、みかえる、がぶりえる、ふらんしす、るしえる、仏陀、クリシュナ、ケーシーなどとサインされているのです。あの歴史上や聖書あるいは仏教に登場する人たちといったらいいのか、その者たちのサインが施されていました。サインの真偽のほどはもちろんわかりません。そして、はじめのころの本には、聖書の天地創造、アダムとイブ、ノアの方舟、出エジプトなどの話を当事者自らがその真相を語るということなのです。これはそれなりにおもしろく、聖書で読むのとは違った解釈が述べられていたりしました。そしてこのリーディングを通して一番伝えたいことは、もともと神とルシエルは一体であったという解釈です。ルシエルと言えば悪魔、サターン、ベルゼブルの代名詞のように言われていたものですから、これには驚きました。しかし、よくよく考えれば光があれば必ず影がある。プラスとマイナス、陽と陰、拡大と縮小、すなわち神と悪魔は反するものゆえ、二つがあってはじめて成り立つものであり、もともとは一体のものが別れたという考えに行き着くのです。これはなかなかおもしろく、この話が出てからは、次はどうなるのとミステリーを読むように読みふけってしまいました。
ルシエルの詩(うた)の中の一節
  ・・・
  陰と陽 つまりは光と影である
  影は光に伴い
  光は影を伴う
  光とは神そのもの
  影とは神に伴う私である
  ・・・
長いルシエルの詩ですが、これが圧巻です。そして伝えるべきことは、この中に凝縮されています。
神を含めたすべての視えない世界の者とは、あるバイブレーションを持ったエネルギーであると、とらえています。お互いのバイブレーション(波長、波調など)が合えば、視えない世界の者たち(意識体、霊、魂などいろいろな呼び方があるが)とコンタクトがとれ、リーディングなどをすることができるということらしいのです。これらのリーディングの内容を信じるかどうかは読者にもちろんゆだねられています。
また、肉体は滅んでも魂は生き続けやり残したことを成し遂げるために輪廻転生を繰り返すということらしく、山田さんの過去世がモーゼであることを記していましたが、これには山田さん本人だけでなくぼくもびっくりしてしまいました。昔、「十戒」という映画の中でチャールトン・ヘストン演じるモーゼの姿を思い出してしまいました。山田さんのリーディングの行方が昔のようにある預言者や救世主が現れて、この世を救うというストーリーになるのかなと思うと、そうではなく、それぞれの人が目覚めて、新たな星に向かって進んでいくという未来像を描いています。山田さんは、このことを広く世に広めるためにこのノートを公開することをリーディングを通してしきりに迫られます。しかし山田さんは一種の不安やどこまで信じていいのかわからないため、これらの本は通常の本の販売ルートには乗せずに、口コミで関心をもった人たちに個人配布する方式を採用しました。今の世の中のことを考えれば、これを元に新興宗教の教祖や霊能者あるいは超能力者として世に出て商売に結びつける人が多いのですが、山田さんはいっさいこういうことには関係せず、以前から続けている日常の活動を地道に続けています。山田さんは自分でも宣言していて、自分がリーディングの能力を持っていることと現実の世界は別であって、現実の世界での普通のおばさんであり続けています。オカルト志向ではないこんな姿を見せているので、安心して最後まで読み通せたのだと思います。そしてこれらの本を通して分け隔てをしないものの見方を教えてもらったのと、元気をもらったような気がします。それにしても不思議なそれでいて楽しいそしてまじめな体験をさせてもらいました。

折りしも若田光一さんが国際宇宙ステーション(ISS)からスペースシャトル「エンデバー」で無事地球に戻られました。「ハッチが開いて草の香りがシャトルに入ってきたとき、地球に迎え入れられた気がした」と記者会見で述べていましたが、本当に宇宙へ行ってきた人の実感がこもっていました。若田さんは4ヶ月以上(138日)、国際宇宙ステーションで過ごして、日本の実験棟”きぼう”を完成させました。新しい宇宙時代の幕開けです。(7月31日)
記:2009/8/1